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写真左から、村松さん、宮地さん、西巻さん。

Happy Quality総額1億円資金調達の裏側

先日、農業×AIにより農業を支援する株式会社HappyQualityが、総額1億円の資金調達を達成しました。

PRTime:農業×AIにより農家を支援する株式会社Happy Quality、シードラウンドにて総額1億円の資金調達を実施 

そこで本日は、インターンの西巻が、達成までの詳しい道筋やその裏話などを、代表取締役である宮地誠さんにインタビューして参りました。

 

宮地誠さん

HappyQuality株式会社 代表取締役

浜松青果市場で競り人として21年間勤務したのち、2015年にHappyQualityを設立。農業の衰退を食い止め未来に残していくために、「誰にでもできる農業」の仕方を確立し、農業の新しいスタンダードを作り上げることを目標に活動している。

 

 

しあわせ品質を全ての人に

西巻:まず初めに、HappyQualityのことについて詳しくお聞きしたいと思います。HappyQualityの創業のきっかけを教えていただけますでしょうか。

 

宮地さん:私は以前20年ほど市場で競り人として働いたのですが、そこで多くの農家さんを尋ねました。そして、所得の低下や、それによる就農人口の減少といった問題を目の当たりにしてきました。そのような問題をどのようにしたら解決できるかを考え、生産から流通までのサプライチェーンを構築することで農業の新しいスタンダードを作ることに思い至りました。

新しいスタンダードを作るためには、農業の在り方といった、本質から変えていかなければなりません。こうした思いから、HappyQualityの創業を考えるようになりました。

そして、その本質を作っていくための手段として、新たな技術の開発や新しい流通の仕組みをマニュアル化することを達成しました。マニュアル化することによって、高品質なものを安定的に生産することができ、所得は安定します。その結果、就農人口の増加にも繋がる事で流通業界も含めて活性化すると考えました。

 

西巻:新しいスタンダードの核となる技術面に関してですが、具体的にはどのような事業をされているのですか?

 

宮地さん:はい。農業と技術を組み合わせ「アグリテック」といい、弊社では、そのアグリテックを「ハピトマ」というトマトの栽培に応用予定。AIの画像認識技術や環境センサーを用いた自動灌水システムを他社と共同開発し、活用していきます。

しおれ検知AIといって、AIの画像認識技術で、しおれかかっている葉のしおれる予兆を見つけ出します。さらに湿度や温度といった環境データをセンサーによって感知し、AIとセンサーの両方によって、灌水をすべきタイミングを特定するのです。

トマトはストレスがかかると甘くなるのですが、自動灌水システムにより、適切なストレスをトマトに与えることが出来るんですよ。またこのシステムでは、肥料や薬品を与えるタイミングやその濃度も調節ができるため、糖度やリコピン、GABAの成分が高い高品質なトマトが作れるというわけです。

 

西巻:凄いですね!その開発には大学や他の企業との連携があったとお聞きしました。

 

宮地さん:AIの画像認識システムは、主に静岡大学との共同開発です。AIアルゴリズムの研究やAI灌水制御システムの開発に着手して頂いています。

また弊社では近赤外センサーによってトマトの選果を行っていますが、この時使われる選果機は、糖度や質量だけでなく、リコピンの含有量も測定することができます。これが出来るのは、弊社の選果機だけなんですよ。

 

西巻:そのような外部との交流や共同開発といった繋がり、技術シーズを兼ね備えた農家さんは珍しいですよね。

 

宮地さん:うちは農家の課題可決(技術補佐)をするスタートアップ企業ですからね(笑)特にスタートアップ企業だと言われる理由は、技術開発でイノベーションを起こし世界のスタンダード構築を目指している点だと思います。

 

地方だからこそできるビジネスを

西巻:ビジネスという面において、東京などの都市部と地方では人やモノ、カネといったリソースの面でハンディキャップがあるかと思います。その点について宮地さんはどのようにお考えですか?

 

宮地さん:確かに地方は都市と比べて人が少なく、起業家や投資家も都市部ほど盛んにいる訳ではありません。よってビジネスチャンスは地方の方が生まれにくいのが現状であると考えます。

しかし、私はそこにハンディキャップを感じてはいません。都市は都市に合ったビジネス、地方には地方に合ったビジネスがあると思うからです。つまり、地方だからこそできるビジネスというものがあると私は考えています。

稼げる農業は銀座では出来ません。広い土地やビニールハウスのような施設が必要となる農業は、地方だからこそできるビジネスであり、地方の強みとなるのではないかと思っています。

 

西巻:地方であることが逆に強みになっているんですね。

 

宮地さん:また、人やモノ、カネに関してハンディキャップを感じていないのは、地方でもそのリソースが確保できているからです。大変ありがたいことに、弊社の事務所には世界中から研究者の方や企業の方が訪ねてくださいます。リソースが確保できる理由は、やはり地方にいながら高度な技術シーズを持っていることです。

 

西巻:それがAIということに繋がるわけですね。

 

宮地さん:はい。ただ、このアグリテックの開発には多くの資金が必要になります。そこで資金調達によってその開発資金を賄うことになったんです。

 

伴走的な支援であるため安心

 

宮地さん:リソースが確保できている理由にはもう1つ大きな理由があって、それは弊社の技術シーズのアピール戦略がきちんと確立されているという事です。

例えば、地方はVCの数が都市と比べて圧倒的に少ないですし、資金調達を目指す地方のベンチャー企業とVCとのコネクションが形成されていないことが課題だと思います。

なので、そういったVCと繋がりを持つためには、有効なアピール戦略が必要となってきます。

 

西巻:そのアピール戦略は、どのように確立なさったのでしょうか?

 

宮地さん:EXPACTさんとの出会いが大きな転機となりました。EXPACTに弊社のファイナンス戦略やメディア戦略を支援していただいていることが大きいのかなと感じます。

 

西巻:そういった支援にはHappyQualityのことを熟知している必要がありますよね。

 

宮地さん:そうですね。ただの外部コンサルタントとしてではなく、HappyQualityの強みや弱みを理解した上で、HappyQualityの一メンバーとして一緒に成長を目指して取り組んでいただいています。

どのVCや団体に働きかけるのが良いのかなどは、正直判断が難しいときも多く、その分野のノウハウを兼ね備えたEXPACTの存在は大変ありがたいです。

また、うちのような高度な技術シーズは持っているけど、それをどのように外部にアピールしていけばよいのかが分からなくて悩んでいる地方のベンチャー企業は多くあると思いますよ。

しかし、弊社の場合はメディア戦略や技術のアピール戦略といった所も共に考えてくれているので、とても安心できますね。

 

西巻:EXPACTが、御社の様な地方ベンチャーとVCとの間のハブとして機能しているという事ですね。クライアント様が現在抱えている課題や悩みにもフォーカスし、解決に向かって取り組んでいる姿はまさに伴走的であると言えると思います。

また、今後HappyQualityが成長していく中で、EXPACTに期待することはありますか?

 

宮地さん:そうですね。EXPACTのパートナー企業同士のシナジーを生むような役割を担っていただけることを期待したいです。パートナー企業と伴走しているEXPACTだからこそ、ビジョンや方向性が近しいベストなコラボレーションを実現できるのではないかと思います。

農業界の共創のプラットフォームを築いていきたい

西巻:今後のビジョンや目標があれば教えてください。

 

宮地さん:現在はAIやセンサーを用いたアグリテックを開発し活用していますが、今後もその技術面を重視していきたいですね。

新たな技術を開発中で、農業の更なるマニュアル化を目指しています。新しい技術と聞くと、やはり難しそうだというイメージがあるかと思いますが、先ほども話させていただいた通り、きちんとマニュアル化することで、どんな人でも使いやすいものにできたらいいなと考えています。

そして、所得問題を解決し、新規就農者を増やしていく事で、業界全体を革新し盛り上げていくと同時に、しあわせ品質をより多くの方々にお届けしていきたいと思います。

 

西巻:さらに成長を遂げていくHappyQualityに、今後も注目ですね!本日はありがとうございました。

 

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